Vol 08

    輝く人財!魅力あふれる沖縄観光

    関心ある分野で働き、自身の成長に

    沖縄県のリーディング産業である観光産業。ホテルやツアーガイド、観光施設のみならず、宿泊業や飲食業、交通業、農水産業など、一口に観光産業と言っても関連する業種は多種多彩で、関心ある分野で働くことで自身の成長につなげることができます。沖縄県における令和元年度の旅行・観光消費の経済波及効果は1兆1702億円と推計されており、同年度の県内総生産約4.6兆円と比較してもかなりの割合を占めております。また、雇用効果は15万人以上と県内最大規模。これまでもこれからも、沖縄県の中核を担う重要な産業こそが、観光産業なのです。

    多くの職種が織りなす沖縄観光の魅力

    沖縄県が令和4年度に策定した「第6次沖縄県観光振興基本計画」では、沖縄観光の要となる観光従事者の育成・確保や、雇用の環境改善・体制構築に取り組んでいくことが盛り込まれています。将来の目標を描くキャリアデザインの普及啓発などを通して、観光従事者のみなさんの社会的地位や仕事のやりがいなどの向上につなげていきます。

    また、正規雇用の促進や観光事業者に対しての経営支援や参入支援など、産業規模の維持・拡大に努めることも、重要な施策の1つです。性別に関わらず誰もがキャリアデザインを描きやすく、活躍できる業界づくりを積極的に目指していきます。

    沖縄観光には、本質的な価値があります。それは、豊かな自然環境、独自の歴史・文化です。多くの職種がさまざまな場面で密接に連動して「沖縄らしさ」となり、沖縄観光のブランド価値として多くの観光客を惹きつけています。

    ダイビングやカヌー、キャンプ、星空、トレッキングなど豊かな自然環境を体験し学べる沖縄では、各アクティビティのインストラクターやガイドとして活躍することができます。染織や三線、壺屋焼、琉球漆器といった伝統工芸品を生産・販売する仕事も、観光客が沖縄の文化を体験できる喜びを生み出しています。琉球・沖縄料理の料理人、アグー豚や海ブドウなどの県産食材の生産者も、観光には欠かせない「沖縄の味」を支えています。その他にも観光関連産業では、企画開発、環境保護、顧客管理など枚挙に暇がないほどの多彩な職種に挑戦することができます。

    時代や価値観の移り変わりと共に、多様な旅行のスタイルも生まれてきています。旅行先の自然や社会に責任を持ちながら観光する「レスポンシブル・ツーリズム」など、これまでとはまた違った角度から旅行先を見つめることで、新たな旅の魅力を作り出しています。進化を続ける沖縄の観光産業には、たくさんの未来が詰まっています。

    沖縄の自然、歴史、文化を守るために「伝える」

    観光で頑張る人インタビュー
    数十万年前の鍾乳洞が崩れてできた太古の谷「ガンガラーの谷」。事業所長の高橋巧さんと、ツアーガイドの當眞佳那子さんに、お仕事の魅力やツアーにかける想いなどをお伺いしました。

    ガンガラーの谷 事業所長の高橋巧さん

    Q.ガンガラーの谷のガイドツアー事業ではどのような想いを大切にしていますか?

    ガイドツアーでは、地形や植物、祈りや考古学など、様々な角度からその魅力を案内しています。ここにしかない自然、歴史、文化を掘り起こし伝える事が、人々の気持ちを動かし、この場所を守っていくことに直結すると信じています。私自身これまで、国内外いろいろな土地を旅しましたが、沖縄ほど素晴らしい場所は無いと思っています。まだまだ伝えきれていない沖縄の魅力を、引き続きしっかり伝えていきたいと考えています。

    Q.ガイドツアーの他に、洞窟でのパーティーも注目を集めているようですね。

    海外のMICEのお客様が開催地を検討している時に、最後まで候補に残ったのが、ドバイと沖縄だったことがありました。その地域の独自性のある特別な場所でパーティー等の催しを開催する『ユニークベニュー』という世界的なトレンドがあります。自然が産み出した天然の鍾乳洞、古代人の痕跡が今も残る本物の空間で、フルコースディナーやエンターテインメントが楽しめるプランが評価されたのだと思います。

    Q.観光のお仕事を通じて、さまざまな方と幅広いつながりができそうですね。

    はい。ホテルや旅行会社などの旅行業界はもちろん、エンタメ関係、テレビや雑誌などのメディア、まちづくりに携わる行政、発掘調査関係者など、あらゆる分野の方々とつながりが持てています。とても幸せな事だと思っています。

    Q.観光にまつわる仕事をしてみたいと考えている方にメッセージをお願いします。

    観光の仕事をする上で一番大切なのは『心』だと思っています。お客様を喜ばせたい、一緒に楽しみたい、という心があれば経験やスキルが無くても観光の仕事に向いていると思います。私は学生時代から落語や地形学、海、山、川での冒険や食堂の経営など、さまざまな事をしてきましたが、その経験は今の仕事に全て役に立っています。同じように、観光業が初めての方でも、これまでの経験をどんどん観光の仕事に生かしていけるはずです。沖縄の素晴らしさを守るために、ぜひ一緒に沖縄の魅力を伝えていきましょう。

    昨年12月からガンガラーの谷のガイドとして活躍する當眞佳那子さん

    Q.ガンガラーの谷のガイドとして働き始めた理由を教えてください。

    地元のことを伝えることに興味が湧いて『楽しい』を一緒に感じられると思ったからです。以前は県外で福祉関係の仕事をしていたのですが、新しい世界を知りたいという気持ちで飛び込みました。観光業が盛んな沖縄に帰ってきたタイミングで『やったことがないことをやってみよう』という思いもありました。ガイドだけではなくて、洞窟内でのコンサートやパーティーの業務、コースの管理や修繕などさまざまな事を学べ、自らの成長にもつながります。仕事が苦にならずに新鮮な気持ちで毎日を楽しんでいます

    Q.お仕事の魅力を教えてください。

    一気に20人以上のお客様から『ありがとう』と温かい言葉をかけてもらって拍手してもらえるお仕事は、他にはなかなかないと思います。みなさんの貴重なお時間を頂いている分、身の引き締まる思いです。せっかく沖縄に来てくださっているので、お客様と沖縄をつなぐ架け橋になれたらと思っています。

    従業員に対しても優しい企業

    観光で頑張る人インタビュー
    沖縄を全ての人に温かく優しい島『ダイバーシティアイランド沖縄』にしたいとの思いでホテル経営を行う「ホテルパームロイヤルNAHA国際通り」の高倉直久総支配人に、従業員が幸せを感じられるような職場環境の整備などについてお話をお伺いしました。

    Q.ホテルを運営する上で大切にしていることは何ですか?

    私の思い描いている夢の1つに、沖縄を『ダイバーシティ・アイランド』にすることです。障がいの有無や性別、セクシャリティ、宗教や国籍などに関わらず全ての人が生きやすい優しい島の実現を目指しています。当ホテルは約10年前よりLGBTQフレンドリーのホテルであることを表明しており、お客様が居心地の良さを感じてもらうことはもちろん、従業員自身も自分らしさを発揮できる会社として運営しています。外国人のスタッフも多く、多様なお客様への配慮と心のバリアフリー化推進に寄与したホテルとして大臣表彰を受けています。『従業員に対しても優しい企業』という印象を持って頂いて、結果的に求人応募の増加につながるという面もありました。

    Q.従業員を大切にするという姿勢は、御社の離職率の低さにも表れているかと思います。

    ホテルを含む宿泊業・飲食サービス業の新規学卒者の3年以内離職率が5~6割に上る中で、弊社は10%未満となっています。従業員は正社員がメインで、しっかりした雇用形態を提供できているので、長く働いてもらえているのではと思っております。コロナ禍においても、会社の判断として従業員の給与は全く減らさないと宣言して運営してきました。優秀な人材を確保するには、従業員が幸せでなくてはなりません

    Q.人材確保で意識されている点はありますか?

    昨年10月に平均して2割ほどの給与アップをしました。すると人材が集まってきて、人手不足が解消に向かいつつあります。特に県内在住の外国人からの反応が良かったです。能力の高いみなさんと給与形態がマッチングしたのだと思います。収益が上がるのを待って人材募集をするのではなく、収益を上げるための先行投資として給与水準を上げることで、人材確保や離職率の低下につなげることができました。地元沖縄の企業として、地に足を付けてリーダーシップを発揮し、地域と共に成長して、社会に還元していきたいと考えています。

    Q.スタッフの育成についてお考えをお聞かせください。

    人材育成というよりは、スタッフ一人ひとりが職種や働き方の型にはまらずに、自然体で働いてもらうことを意識しています。例えば、フロントスタッフとして働いていた方が産休を終えて職場に戻ってくる時に、子育てがしやすい時間帯で働ける予約管理のポジションを用意するなど、従業員のライフプランに極力寄り添った職場環境を準備しています。結果として、ホテル内のさまざまな役割をこなせるマルチスタッフが増え、大変助かっています。他の部署の動きも把握しながら働けて、円滑に業務が進むことで本人のキャリアアップにつながる相乗効果も生まれており、プラスのスパイラルを形成しています