大切なのは光を観ること常に前向きに突き進めば光が見えてくる。
- Profile
- 一般社団法人北中城村観光協会 井上 恵美(イノウエ メグミ)さん 26歳
一般社団法人北中城村観光協会は、平和と文化、健康長寿に価値をおく人々と、昔ながらの沖縄の風景や豊かな緑が美しい「ウェルネスな村」である北中城村のPRを通じて、地域の発展と職員の幸せを理念に掲げる観光団体である。
島育ちの井上さんは、実家が民宿を経営していたこともあり、幼少期より観光に近い距離で育つ。現在は北中城村観光協会に勤めており、ウェブとイベントを担当。観光業を通じて生まれ育った地元への貢献を目指す。
- Q.与論島のご実家が民泊を運営されているとお聞きしました。幼少期から観光を身近に感じていたのですね。
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- #01
幼少期、家に知らない人が訪れ両親が温かく歓迎し、おもてなしする姿に不思議な気持ちを抱いていました。後に彼らが観光客だと理解します。不思議な思いを抱えつつも、私は彼らの観光について回りました。
後に、民宿は閉鎖しましたが、常連の方々が時折実家を訪れ、楽しそうに過ごしている姿を今でも覚えています。「今年も会いに来たよ!」という声を聞いていると、今思えば、父親の温厚な性格と人柄が訪れる人々に受け入れられ、民宿を閉めた後も多くの人々が訪れたのだろうと思いました。
そのような経験から、私自身も訪れる人々に歓迎の気持ちを持つようになります。年々戻ってくる方々への言葉や、旅行の始まりと終わりを祝う言葉。これらの習慣は私にとって当たり前のことであり、将来的にはおもてなしをする仕事に携わりたいという漠然とした夢を、小さいながらも抱いていましたね。
- Q.井上さんが北中城村観光協会にお勤めになるきっかけを教えてください。
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- #02
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将来的には地元に貢献したいという思いが強かったため、学生時代はさまざまなアルバイトを経験しました。その過程で、観光協会のメンバーと出会う機会があり、この仕事があることを初めて知りました。
観光客の受け入れや夏休み合宿の開催、地元特産品を県外に発信するなど、多岐にわたる活動を身近で見るうちに、観光業には多様な側面が存在することを認識。地元に貢献する仕事として、観光協会のような役割に興味を持つようになります。これが観光協会を志す最初のきっかけです。
その思いを胸に一度はホテル業界に憧れ、卒業後にホテルでの職に就くことも経験。しかし、進路を模索する際、観光協会の存在を再び思い出し、地元へ戻りたいという決意を固めた際、何のノウハウも持たずに戻ることの難しさを感じた私は、社会経験を積みながらも観光業を学び、戦力として貢献できるようになりたいという思いから、北中城村観光協会が自分にぴったりの場所であると感じ、ここで経験を積みスキルを磨くことを決断しました。
- Q.北中城村観光協会の役割とは。
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- #03
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観光を通じた地域の発展というテーマには大いに共感します。
観光は単に訪れるだけでなく、受け入れる地域の重要性が根底にあると私は考えていて、受け入れる側の心情や待ち望む気持ちを大切にすることが肝要です。
オーバーツーリズムを避けるためには、わざわざ受け入れていただく施設や地域の仕組みの拡充が欠かせないと思います。地域の特性を活かした取り組みや、訪れやすさを考える工夫、地域コミュニティの結びつきを促進するなど、観光協会をはじめ、観光業界の発展を促進していく組織の重要な役割だと考えています。
- Q.仕事の魅力ややりがいについて教えてください。
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- #04
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北中城村観光協会に入職して3年目を迎えました。
何よりも印象深いのは、地域の皆様との深いつながりを築けたことです。
地域のイベントや協力を通じて、徐々に距離が縮まっていく様子には、大きな達成感を感じます。
イベント後に食事に誘っていただいたり、ほっこりした雰囲気の中で打ち合わせができたり、仕事をしててつくづく至福の瞬間だなぁと思います。
私は常に北中城村の方々の役に立ちたいと考えていますが、逆に彼らから元気をもらうことが多く、私自身が支えられていると感じています。
この素晴らしい連帯感は、本当に心躍るものです。
- Q.ウェブやイベントを担当されておりますが、井上さんのこれまでの体験についてお聞かせください。
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- #05
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イベント担当として、最も重要と考えるのは北中城村を広く知ってもらうことです。
北中城村に存在する観光スポット、魅力的な施設や店舗、特産品などのPRを主要としています。大切なのは「とにかく北中城村を伝えること」への意欲です。
先日、モノレール開業20周年のイベントがてだこ浦西駅で開催され、北中城村を積極的にPRするために地域外に出向いて出展ブースを設けました。
また、昨年は「きたコス」というコスプレイベントを開催し、国指定の重要文化財である中村家住宅や世界遺産の中城城跡でコスプレイヤーたちを迎え、文化財と一緒に写真を撮るイベントも開催。県内にコスプレイヤーがどれだけいるか不安でしたが、驚くべきことに500名近いコスプレイヤーが参加。彼らが北中城村の魅力を広めてくれたことにとても感動しました。この経験を通じて、北中城村の人々の温かさを再認識し、人との繋がりの大切さをPRしていければと考えます。
- Q.大変なことや難しいことはありますか?
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- #06
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北中城村は那覇市や北谷町と比べ県内でも認知度の低い地域なので、魅力あるディープなスポットとして広めていきたいという課題はあります。しかし、地域とのバランスを取ることが重要です。
地域住民の声を尊重し、観光客との共存を考えることで、地域全体が持続可能な発展を遂げることができます。PR活動や地域の魅力を発信する際、地域住民の利益や快適さを考慮することは大切であり難しいところです。
- Q.どのような方が観光協会のお仕事に向いていると思いますか?
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- #07
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私自身、観光協会で働き始め北中城村との接点を持つことで、私の地元についても新たな気付きを得ることがあります。私の地元にもこんな魅力があるのだとか、こうすればもっと魅力的になる可能性があると気付かされます。人との関わりが好きな方や地域への興味をお持ちの方は、観光協会の仕事に向いていると思います。
- Q.読者へメッセージをお願いします。
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- #08
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学生時代、私は研修先のホテルの社長から、観光の仕事をする上で重要なのは、働いている人々自身が「光を観る」という考え方を持ち、それを積極的に表現していくことだという教訓を得ました。どんな状況でも光を見続ければ、その先には明るい未来が待っていますし、さらに観光の仕事も輝きが増すと。
人手不足や離職率が問題になっていますが、問題や課題を暗く受け止めるのではなく、むしろ人手不足になるくらい盛り上がっている、光り輝く沖縄観光に向かって前進していっていると、明るく考えるようにしています。また、観光産業で働く人々が輝いているからこそ、観光の場所が存在し、結果として訪れる人々も幸せになれると考えます。
幼少期、わざわざ島に何度も訪れたあの観光客の幸せそうな笑顔を、沖縄観光を通じてさらに増やしていきたい。
そんな思いを胸に、私はこれから先も観光に関連する仕事に携わりたいと考えており、自分が関わる環境も「光を観れる」場所であると考えます。
また、その光を、観光客やインバウンドの皆さんが北中城村に見つけに来てくれることを願っています。どの地域にも、その小さな輝きが必ずあるはずですから。