私たち若い世代こそ沖縄の心「ちむぐくる」を世界へ発信するべき
- Profile
- てぃーだ観光 大城 綸(オオシロ リン)さん 23歳
NHKプロフェッショナルでも取り上げられた、全国的に有名な沖縄の「ちむぐくる」を語る観光バスガイド、崎原真弓さんが取締役を務める貸切バス会社「てぃーだ観光」。三線を奏でながら歴史や文化を語るそのガイドスタイルは、観光を楽しむだけでなく、沖縄の深い真髄に触れる機会を提供する。バスの中でお客様と共に沖縄の魂を「共有」することで、修学旅行生、団体企業、そして沖縄を訪れる世界中の方々に特別な旅を提供している。
人々に感動を与える役者を志していた大城さん。崎原さんとの出会いを通じて、バスガイドとして沖縄の歴史や文化を伝える道に進み、新たな感動を発信する。役者とは異なる道で、若い世代を代表して先人達が築き上げた「ちむぐくる」の真髄を広める使命に取り組む。
- Q.てぃーだ観光に入社したきっかけは?
-
- #01
高校時代の恩師の紹介で、てぃーだ観光の崎原先生と出会いました。崎原先生が母校で平和講話を行った際、その講話に深い感銘を受けた恩師から連絡があり、「君は人を感動させる役者になりたいと話てたね。一度崎原先生に会ってみては?」と提案を受け、てぃーだ観光に連絡。事情を説明すると、崎原先生からてぃーだ観光のインターンとして平和講話に誘っていただきました。
崎原先生の講話を聞く生徒たちから感動や涙があふれ、私もその講話を聞いていましたが、崎原先生から放たれる驚異的なエネルギーに圧倒。「何?このパワーは!?」と自分でも驚くほど。気がつくと涙が止まりませんでした。
この体験後、輝ける場所や人を感動させることは、役者やテレビの中だけに限らないと気づき、その日を境にてぃーだ観光の仕事に飛び込む決意をしました。
- Q.入社当時の状況を教えてください。
-
- #02
-
ちょうどコロナが蔓延し始めた2020年の4月1日に入社したのですが、一週間後には自宅待機に。自宅では沖縄の歴史を勉強したり、三線の弾き語りを練習するなど、自主スキル向上に専念しました。
本来であれば入社1ヶ月程で現場に入るのですが、観光客やインバウンドの皆様に、より質の高いちむぐくるをお伝えできるようになるための、自己を高める貴重な時間を与えられたと前向きに捉え、稽古に励んだのを覚えています。
大切なのは全てにおいてプラスに捉える事です。
- Q.綸さんのお仕事やその魅力について教えてください。
-
- #03
-
修学旅行生や県外企業の団体さんなど、沖縄にお越しいただいた皆様に、歴史や文化、先人たちが築き上げた心など、沖縄の魅力が溢れる「ちむぐくる」をお伝えするのが私の仕事です。
三線を奏でながら島唄を教え、お客様と一緒に歌い踊りながら、目の前に広がる景色を共感し合う機会を提供します。この楽しみを分かち合う事で、お客様と一緒に沖縄の魂を共有でき、マニュアル化した沖縄観光と違った、より深く沖縄を深掘りできるツアーを提供しています。
一生懸命気持ちを込め、緊張しながらも全力でお伝えする私に、お客様からありがとうと温かいお言葉をいただけます。時にはお手紙までいただけるんですよ。
嬉しすぎて逆にお客さまに感謝しているくらいです。
わざわざ沖縄に足を運んでくださり、ありがとうございますという気持ちが、お客様からのありがとうとして返ってくると、これ以上の喜びはありません。
- Q.目には見えない「ちむぐくる」を感じていただく上で、語りべとして、また我々参加者として大切(重要)な部分をお聞かせ下さい。
-
- #04
-
私が沖縄を案内する際、一方通行の情報提供ではなく、共感と理解を大切にしています。マニュアルの文章をただ覚えて伝えるのではなく、私自身がその内容や言葉を深く理解し、自分の気持ちとして表現することが肝要だと考えています。
言葉や内容は、沖縄の歴史や文化、先人たちの思いが込められているべきです。そのため、私は自分が伝えることに対して真摯に向き合い、深く理解し、自身に落とし込むよう努力しています。これがバスガイドとして非常に重要な部分だと信じています。
また、私の願いは、参加者の皆様が私たちが伝える「ちむぐくる」に共感し、それを他の人にも伝えてくれることです。友達やパートナー、お子様など大切な人々に伝えて欲しいと思っています。
沖縄の歴史や文化が途切れることのないよう、私たちだけでなく、皆様にも語り継いでいただきたいと願っています。それが沖縄の魅力を未来につなげる大切な一環だと思います。
- Q.崎原先生について教えてください。
-
- #05
-
崎原先生は沖縄の「ちむぐくる」を最前線で実践し、ガイド業だけでなく、自身の全身から沖縄の魅力を常に発信している存在です。三線や踊り、そしてバスガイドの心得を私たちに授けてくれる非常に尊敬している方です。
- Q.綸さんにとって、沖縄観光の魅力とは?
-
- #06
-
沖縄独特の三線の音色や艶やかな舞踊、若い方々まで日常になっているゆいまーる精神など、沖縄独特の文化はとても魅力的と感じています。
沖縄に観光でいらした方なら感じた事はございませんか?観光で歩いているとおじぃやおばぁが親しみやすく話しかけてくれたり、ショップ店員やホテルのフロントデスクが親身にサポートで寄り添ってくれたり、気がつけば飲食店で隣の知らない方と楽しく談笑したりなど。
このような楽しくて温かい沖縄文化こそが、沖縄観光の魅力を大きく形作っていると思います。親しみやすく温かい人々がいるからこそ、沖縄は多くの人々に愛されているのでしょう。
- Q.読者にメッセージをください。
-
- #07
-
てぃーだ観光で得た知識や沖縄の豊かな文化、先人たちの想いは永遠に私の心に刻まれています。現在、私はバスガイドとしてツアー参加者にお伝えしていますが、発信の場がいくら変わろうと私の伝える内容は変わりません。それが芸能人であろうと、マスメディアであろうと、書物であろうと。
大切なのは、伝え続けることです。これまで多くの人々と出会い、ちむぐくるを伝えてきました。ツアー参加者が少しでも沖縄の文化に触れ、それを他の誰かに話すだけで、その伝承が始まります。さらに大きな括りで考えると、出会いそのものが未来に語り継がれていくのだと思います。皆さんに出会えるのを楽しみにしています。